摘要: | ビジネスの世界では、同じような失敗が繰り返されている。なぜ名経営者でも失敗し、また企業は一体誰のものなのか。本稿では、成果主義、時価総額経営とマスコミの力に着目して不祥事の発生経緯を分析した上で、日本企業がどのように経営難関に対応していくのかを浮彫りにしていきたい。アメリカ型の成果主義や時価総額経営といった一連の経営改革は企業経営の効率化を促進させ、日本企業の業績回復に大きく貢献したが、それと同時に不祥事も誘発した。また、経営者も従業員と同様に成果を求められ、時価総額が経営者の業績の有無を判断する大きな基準とされる。綺麗な財務報告は高い株価を維持する基本中の基本であり、企業側は損失を処理する時に、粉飾決算の誘惑に負ける可能性が極めて高い。不祥事企業にとって、最も怖いのは裁判所の罰則よりマスコミと世論だろう。日本では、裁判官は罪を反省した容疑者に軽い処罰を与えがちであり、涙を流せばその効果はもっと大きくなる。 |