私たちがウィズ(with)コロナ時代が続いていく「新常態」(New Normal、ニューノーマル)の時代的脈絡を踏まえると、AI技術とSDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標、エスディージーズ)の潮流は無視してはならない。そこで、世界を他人事ではなく、自分事化することを目的に、論者はSDGs(17ゴール、169ターゲット、230指標)とAI技術との両者の融合を目指す授業「日文翻訳」授業(大学3年生)を109学年度の後期(2021年2月から6月まで)に実施した。その実践結果では、「PEDにより判明した履修者の学習効果」、「学期成績により判明した学習効果」、「AI技術により解析した学習効果」、「各グループの回顧と反省から見た学習効果」の4点から、本科目で設けた、新しい時代に適応し、SDGsを体感すると共にAI技術の応用能力を身に付けた人材を培うという教育の到達目標を達成したことが窺える。特に履修生が本授業を通して新たに気づいた点が4つある。それは、いずれもAIとSDGsの時代を生きていくには、欠かせないリテラシーである。本論文はウィズ(with)コロナ時代で行った新しい翻訳授業デザインの提案だが、AIとSDGsを兼ね備えた授業デザインは現在の日本語教師に課された切実な任務の一つだと改めて実感した。