題名: | ネイチャーライティングとしての『苦海淨土』の読み―近代という魔性との格闘と第三項認識の可能性― |
其他題名: | 閱讀自然書寫作品《苦海淨土》—探究與所謂近代之魔性格鬥、第三選項的可能性— |
作者: | 曾秋桂 |
關鍵詞: | ネイチャーライティング;『苦海浄土』;故郷;近代という魔性;第三項;自然書寫;《苦海浄土》;故鄉;所謂近代之魔性;第三選項 |
日期: | 2017-06-01 |
上傳時間: | 2017-11-01 02:11:10 (UTC+8) |
摘要: | 近年注目を集めている、文化的に自然と人間との関わりを研究する方法としてのネイチャーライティング(nature writing)を援用し、その中で重要視された「場所の感覚」としての「故郷」を、「空間」(space)、「場所」(place)、「居場所」の3 つのトポロジー(topology)に分け、『苦海浄土』(全3 部)を考察した。その結果、『苦海浄土』は「空間」、「場所」、「居場所」を兼ね備え、多層性を持っているが、一般論で言う文明批判者、反近代思想家としての石牟礼道子像が確かにある一方、日本古来からの説話、民話、詠歌をバネに、近代とは何かを洞察しようとした石牟礼道子の格闘があることが明確にされた。同時に、心に根付いた日本的精神風土への回帰もあることも確認された。とりわけ、石牟礼道子が近代技術文明と反近代思想に対して、日本の原文明を二項対立を産み出す第三項を克服する鍵として捉えようとした点は注目される。マイケル・ヤング(1915-2002 Michael Young)のメリトクラシー論のように欧米でも発想としての「近代」への批判は、未だ途についたばかりである中、『苦海浄土』で描かれた近代という魔性との格闘と自然と人間の対立の根源となる第三項認識と克服の可能性は、きわめて先駆的な業績とも言えよう。 |
關聯: | 『台湾日本語教育論文集』第28号P304-322 |
顯示於類別: | [日本語文學系暨研究所 ] 期刊論文
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